最近、相続不動産の売却のご相談が増えているように感じます。
相談内容は様々ですが、その大多数は、相続した「実家」の売却。
例えば、こんなケース
父、母、長男、長女の4人家族のご長男様からのご相談。
広島にある実家で育った、ご長男様は大学進学時に東京へ!
そして、そのまま東京で就職。東京で家庭を持ち、マイホームも購入し、生活の基盤は東京。
当然、広島へ帰ってくる予定はありません。
一方、長女様は、実家から大学へ!
そのまま地元で就職し、そして、ご結婚。子どもも生まれ、マイホームも購入済。
近くには住んでいるものの、もちろん実家に戻って同居の予定なし。
結果、両親は実家で2人暮らし。
そのご両親も年を重ね、3年前に他界された。
その後、実家では、母親が一人暮らしをされていたのですが、
買い物や、病院通い、そろそろ独り暮らしも心配。。。
と、いうことで、家族で相談した結果、お母さまは高齢者施設への入居が決まった。
そこで、問題になるのが「実家」をどうするのか?
と、いうこと。
家族3人で話し合い、少しでもお母様の生活費の足しになればと、ご実家の売却を決断され、
ご長男様からご相談を頂きました。
ただ、このご実家の登記名義人は3年前に亡くなられた「お父様」の名義のままでした。
当然ですが、このままではご実家を売却することはできません。
登記名義人がこの世に存在しませんので、当然、毛井主不在の不動産誰かに売る、という事はできません。
なので、このような場合は、一旦、相続人のだれかに「名義」を変更した上で、
不動産を売却を行うことになるのです。
このような場合、
他界されたお父様を「被相続人」といい、
残っている、お母様、長男様、長女様の3人が「法定相続人」になります。
もちろん、法定相続人の3名が話し合い、
この実家を、一旦お母様名義への相続登記を行い
お母さまを売主として、この実家を売却するのであれば
「相続登記」と言う手続き作業は発生しますが、実家を売却することに特に大きな支障はありません。
ただし、
このようなケースで、時々発生する問題点が2つあります。
一つは、相続人である「母親」の認知能力。
当然、高齢の方が多いので、「認知能力」の低下というリスクがあります。
もし、認知能力「無」。
と判断される状態であれば、実家の名義を母親に変更して、「売却」はできなくなりますし、
それ以前に、相続登記手続き自体が頓挫してします。
そしてもう一つの問題点は
「相続人」の意見が一致しないケース。
家族と言っても、日本中の家族が仲よしなわけではありません。
実際、血のつながった親子、兄弟であっても
「もう何10年も話をしたことが無いです!」
と、言うケースは決して珍しくありませんし、
「どこに住んでいるのか?連絡先すらわかりません。」
と、いうようなケースだってあります。
もし、相続人のうちの一人が拒否すれば、
もしくは、連絡が取れない。という状態であれば、これまた、相続手続きは頓挫してしまい、
当然、「売却」の話を進めることはできなくなってしまいます。
今回のご相談のケースは、このような問題点は全くなく、スムーズに相続登記手続きが完了し、
ご売却を進めることができたのですが、
相続協議が上手くいかず、相続登記手続きが難航するケース、結構ありますよ。
お気を付けください。
ちなみに、2024年4月1日以降は「相続登記の義務化」により、
「相続の開始及び所有権を取得したことを知った日から3年以内」に不動産の名義変更登記をしなければいけなくなりました。
違反すると、10万円以下の過料です。
重ね重ねお気を付けください。